ヘルスリテラシーとは、一般に健康に関連する情報を探し出し、理解して、意思決定に活用し、適切な健康行動につなげる能力のことをいいます(厳密な定義についてはいろいろ議論があります)。ヘルスリテラシーは、医療者-患者コミュニケーション、マスコミ・インターネット等による健康医療のメディアコミュニケーション、ヘルスキャンペーン等をすすめるにあたって、常に考慮すべき重要な要素です。ヘルスリテラシーの高い人は、適切な健康行動をとりやすく、その結果、疾病にかかりにくく、かかっても重症化しにくいことが知られています。ヘルスリテラシーを向上させることによる効果については、まだ研究が十分ではありませんが、健康の維持・疾病の予防につながることが期待されています。
ヘルスリテラシーを主な研究対象とした学会は、いくつかの国で開催されてきました。 近年、欧州ヘルスリテラシー学会、アジアヘルスリテラシー学会が開催され、2017年には国際ヘルスリテラシー学会が設立されています。日本においても、近年、ヘルスリテラシーに関する研究活動が活発化しており、医中誌、文科省科研費データベース等において、ヘルスリテラシー関係の研究の収載件数が急激に増えています。しかしながら、ヘルスリテラシーは、臨床医学、公衆衛生学、薬学、看護学、栄養学、社会福祉学、コミュニケーション学、教育学、情報学等の多岐の分野に渡って、縦割りで研究が行われており、研究者の横のつながりがあまりありませんでした。 このような日本の状況に鑑みて、木内貴弘、中山健夫、石川ひろの、奥原剛の4名で、令和元年10月25日に日本ヘルスリテラシー学会を設立して、関連の研究者に参加を呼び掛けることにいたしました。この分野の研究を発展させ、世界の動きに追いつくために、多くの研究者の皆様の参加を歓迎します。
木内貴弘(東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学教授)
中山健夫(京都大学大学院医学研究科健康情報学教授)
中山和弘(聖路加国際大学教授)
石川ひろの(帝京大学大学院公衆衛生学研究科教授)
奥原剛(東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学准教授)
東京都内で開催予定でしたが、新型コロナ肺炎の流行により、経過を見ております。流行が落ち着いた段階で、再度検討して、お知らせします。